ブログ

BLOG

動物園の獣医師のお仕事

2020.02.22 更新
動物の森

こんにちは!突然ですが…
みなさんは、動物園に獣医師がいることをご存知ですか?

私は、当然いるものだ、と思っていたのですが、
お客様とお話をしていると、意外とその存在は知られていなかったりするのだと、知りました。
動物園にはたくさんの動物が飼われていますよね。
その動物たちも、病気や怪我をすることがありますので、ちゃーんと獣医師がいます。

そこで、今回は動物園の獣医師のお仕事について、チラリとお話しようと思います。(^^)


動物園の獣医師(動物の森ver.)の1日は《朝礼》から始まります。
朝礼では、前日に治療した動物の経過や、これから診察して欲しい動物のことを飼育係から聞いたり、
今日やるべき作業の確認など、スタッフみんなが情報を共有する大切な時間です。

次に《巡回》をします。
まずは、気になる動物の様子を見に行ってから、園内をぐるっとまわります。
獣医師といえども、日頃の元気な動物たちの様子がわかってないと、
動物の異状がわかりません。また、動物園の動物たちはペットや家畜とは違って、人にはあまり馴れていません。
治療(=動物にとって嫌なこと)をするときだけそばに行っても、警戒されたり、嫌われたりします。
ですので、ふだんから私自身に馴れてもらって、できるだけ治療しやすいようにしています。
(時には餌をあげたり、なでたりして距離を縮めます)

その後は治療をしたり、検査をしたり…。

動物園では、犬猫の動物病院と違って、動物舎(動物のお家)で治療することも多いです。
ウサギやモルモットなどの小さかったり、連れてくるのが大変ではない動物は、病院の中で治療します。
例えばこの写真のように、カンガルーに注射をしたいだけの場合でしたら、
わざわざカンガルーを病院に運ぶよりは、私が治療セットを動物舎にもって行き、ささっと終わらせてしまった方が、
動物にも人間にも負担がかからなくて良いのです。

「負担がかからない」という点では、動物園の動物は特に、『予防』が大切になってきます。
動物園の動物は、野生動物の性質(気質)も多く残っているため、体の不調を隠すことが多いのです。
(野生では、もし弱っていたら天敵に狙われてしまいますよね)
だから、気付いたときには、実は重症…ということもあります。
また、ゾウやキリンのような大きな動物、ライオンなどの危険な動物は、治療するのが大変です。
なので、できるだけ病気や怪我をしないように管理をします。
ワクチンを打ったり、健康診断をしたり、サプリメントをあげたり…。
(ヤギ・ヒツジに予防注射をしているところ)

あとはココに写真は載せませんが、《剖検》もします。
剖検とは、死んだ動物の体を開き、なぜ死亡したのか調べることです。
他の動物にうつってしまう病気ではないか調べるのも重要な目的ですが、
日々の飼育管理について良い点・悪い点を見つけることができますし、動物の体のつくりについて勉強にもなります。

 

他に…
いわゆる「獣医療」以外にもいろんな仕事をしています。
時には飼育係のお手伝いをしたり…
小学生の皆さんに、動物園の獣医師の仕事についてお話をしたり、

イベントをしたり。
(動物病院見学・診療体験のイベント)
(ヒツジの毛刈りイベント)
時には展示物をみんなで作ったり。
(アニマルショップ横の骨の展示物を作製中)
他にもいろいろ と。 とにかく幅が広いですね!

そんなこんなで、
1日の終わりには、日報(カルテ)を書き、治療の記録をして、
お風呂に入って帰ります。
「えっ!お風呂!?」と思われるかもしれませんが、動物に1日中接しているので、
毛、糞、尿など、病気の元となり得る汚れが、ついています。
ですので、職場でお風呂に入り、着替えて、
汚れを落として帰宅するのです。

いかがでしたか?
動物園の獣医師のお仕事について、一部ではありますがご紹介させていただきました。
この写真に写っているのは全部私で、髪型が違うのは、数年にわたってこれまでの写真をピックアップしてきたからなのですが…
自分でも懐かしかったです(笑)
自分のこれまでの仕事のまとめ、みたいな感じもしますが、
みなさまに、動物園の獣医師について少しでも知っていただけたなら、嬉しいです(^_^)

 

【おまけ】
獣医師といえば、白衣だったりスクラブという服を着ているイメージだと思いますが、
動物園の獣医師はたいてい、飼育係と同じ服装をしています。
お話したとおり、病院の中での治療だけではないので、動きやすいように、という理由と…
動物たちに「あっ。痛いことする人だ!」とバレにくいようにするため、と考えています(^0_0^)